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NO.9

 

より良い食生活を営むために

'00. 9月号

 

  私たち人間は、食事によってエネルギーを産出し生活を営んでいます。
エネルギーは、心臓を動かす、呼吸をする、体温を保つ…などと生命を維持し、
成長や生活活動のすべてにおいて最も重要です。
  健康を維持するためには、体に見合ったエネルギー量を摂取しなければなりません。
そして摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスをとること大切です。
消費エネルギーに比べて摂取エネルギーが多いと過剰摂取になり、その状態が続けば肥満をきたし、
糖尿病や高血圧、高脂血症、動脈硬化、脂肪肝など様々な病気の要因になります。
  また逆に摂取エネルギーに比べて消費エネルギーが多いとエネルギー不足になり、
貧血や体力減退、倦怠感、脱毛などが起こります。
  ここで食生活の改善が必要となってきますが、食生活というのは、
食品の選択・調理方法・食事の量・食べ方の調整・食事の環境の事をいいます。
適切な食生活を営む上で、現在の食生活の問題を理解した上で改善し、持続させ、
日常生活において習慣化しなければなりません。

  
@脂肪を摂りすぎていませんか?

  食物から取り入れた脂肪は、消火器内で脂肪酸とグリセリンに分解されて小腸から吸収されますが、
その際、腸粘膜内で再び脂肪に合成されて、リンパ管を通り血液中に入ります。
この脂肪のうち、一部は脂肪組織の細胞内に蓄えられ、
残りは他の細胞内に取り入れられ必要に応じて酸化分解されてエネルギーを生み出します。
  脂肪は効率されてエネルギー源であり、体を守る役割があります。
ところが、摂りすぎると問題がでてきます。
特に、肉や牛乳・乳製品などの動物性脂肪には作用があります。
そして、動脈硬化の危険因子となり、脳梗塞や心臓病の原因となります。
  一方、植物油などの植物性脂肪には、リノール酸などが含まれ、
これらはコレステロールを溶かす働きがあり、血液中のコレステロールを低下させる作用があります。
  脂肪から摂るエネルギーは、全体の摂取エネルギーの20〜25%(成人)です。

A食塩を摂りすぎていませんか?
  食塩は、人体の血液や体液中に一定の濃度で含まれています。
そてによって毛細血管から組織への体液の移動や細胞間の各物質の吸収・排出などが行われます。
このように食塩は体の維持するのに重要な役割があります。
  食塩は塩化ナトリウム(Nacl1)といい、ナトリウムと塩素の化合物質です。
食塩の摂りすぎで問題になるのはナトリウムの方です。
ナトリウムは多くの食品に自然に含まれているので不足することはなく、摂りすぎになる傾向があります。
食塩に摂りすぎは、高血圧や腎臓病、心筋梗塞、胃がんなどの一因となります。
  食塩の目標摂取量は1日10g以下です。

Bビタミン・ミネラルは不足していませんか?
  ビタミン・ミネラルは微量栄養素と呼ばれ、少量で体の整理機能を円滑にする働きがあります。
これらは体内で合成することはできず、植物から摂取しなければなりません。
  ビタミンの作用は、細胞におけるたんぱく質・糖質・脂肪の分泌を円滑にし、
各組織の構成を促進し、また、脳や神経の働きを調整するなど大切な役割をします。
  ミネラルの作用は、骨や歯などの硬組織を形成し、
血液中の赤血球ヘモグロビンや筋肉タンパク質ミオグロビンを構成しています。
また、血液中に一定に含まれる食塩を構成し、さらにホルモンの成分となります。
  これらが不足すると、その種類に特有の欠乏症が起こります。
また明らかな欠乏症はみられないのが体の貯蔵量が減少しているために
少し無理をしたりストレスなどがかかって必要量が増大したときに、
疲労感や倦怠感、過剰反応、抵抗力・回復力・持続力の低下など潜在的な障害が起こります。
  普段の食事の中で不足が起こらないようにすることが大切です。

C不規則な食べ方をしていませんか?
  体内での各種代謝には常に一定のリズムがあります。
規則正しい食生活は、生体が持つリズムに対応していくことで健康を保つことができます。
つまり、食事の回数や時間が乱れると生体リズムも乱れます。例えば、欠食を保つことができます。
つまり、食事の回数や時間が乱れると生体リズムも乱れます。
例えば、欠食し食事の回数が減少すると、体脂肪の合成が進み太りやすい体質になったり、
夕食の時間が遅かったりまとめ食いをする場合も太りやすくなるのです。
  食べるスピードも健康に関与していて、食事時間が短く、
よく噛んで食べないと食べ過ぎる傾向があり太りやすくなります。
また、消化が悪く胃腸への負担は大きくなります。
  1日の食事をどのように配分するかは、
その人の生活時間や労働条件によって異なりますが毎回の食事の栄養バランスがとれていて、
1日に必要な栄養素を総量としてきちんと確保することが重要です。
また、ゆっくりとよく噛んで食べることは、食べ過ぎで起こる病気の予防や治療に役立ちます。

D外食の機会が増加してませんか?
  外食で気を付けなければならないことは、まずメニューの選択です。
なぜなら、家庭食に比べて栄養素が劣る傾向があるからです。
例えば、外食を利用する人はめん類やどんぶり物、一品料理などを食べる人が多く、
これらは糖質に偏りすぎていてタンパク質やビタミン・ミネラルが不足しているものが多いのです。
また、外食はいつでも食べられるので、食事時間が不規則になりがちです。
  外食は便利で豊かな食生活と思われがちですが、「いつでも」「どこでも」「何でも」「好きなだけ」というのは、結果的に栄養バランスが乱れることとなるかも知れません。

 

栄養士    高橋 広海             

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