副作用の原因

同じクスリの成分のとりすぎがアブナイ
体質・症状との不一致


 「風邪に効く」「痛みを止める」違うクスリと思って一緒に飲んでいませんか?

  市販薬の箱に大きく書かれている効能、これに錯覚してえしまうことがあります。
  たとえば「鼻炎薬」「咳止め薬」などと書かれていると、その部分にだけ効くものと思われて、目的が違うから一緒にのんでも平気だろうとカン違いされやすいのです。
  具体例を挙げると、総合感冒薬「新ルルA」と、痛み止めの「タイレノール」。一見別のものですが、実はどちらもアセトアミノフェンという成分が主体です。両方飲めば過剰摂取。アセトアミノフェンは体内でN-アセチル-P-ベンゾキノミネンに変化し、これは量が多いと外に排出されずに残り、肝臓障害を起こしたり肝細胞が懐死する原因になります。
 

 効きめが遅いからと、すぐ別のクスリに手を出すのは×

  なかなか効果が現れないとき、「この薬はちっとも体に働かないから、早く別の薬を飲まなくちゃ」というのは、危険な思い違い。
  効果がなくても、すでに体には薬が入っているので、ときを置かずに別の薬が入れば、過剰摂取による副作用の危険性が出てきます。
※効かないのは、症状に合わない薬を飲んだときや、市販薬の治療範囲を超えている場合が考えられます。
 

 「たくさん使えば効果が高まる」わけではありません

  薬を多く飲めば早く治るとか、効果が長持ちするだろう、と考えたことはありませんか。
  薬は、一定以上飲んでも効果は頭打ちで、それ以上は副作用がより強くなり、薬物中毒、その先は、致死量となってしまいます。薬は普通の食べ物ではありません。使用上の注意に「1日何回」と服用回数が決められているのは、それ以上飲むと体に何らかの障害が出るおそれがあるので服用してはいけない、ということなのです。
 

 市販薬は、長期愛用するものではないのです

  市販薬は、1錠の中に、複数の症状に対応できるよう多くの成分が入っていることが特徴です。ですから長期服用すると、不要な成分をとりすぎることになり、副作用が起こる原因となります。
  ところで、開封した薬はどれくらい長もちするのでしょう。表示された使用期限がそのまま当てはまるかどうか。これは薬の種類や保管状態によって、本当に千差万別。ここで一般論を言うと、言うそばから誤りになりかねないほどです。薬局の薬剤師に聞くのが一番です。少なくとも薬は、直射日光と湿度を避け、冷暗所に保管してください。
 


見た目はちがうけれど、同じ成分が入っています

  は成分名    同成分はもちろん、同グループの物どうしも、できるだけ一緒に飲まない方が無難なんです。

解熱鎮痛剤グループ (熱を下げたり痛みをやわらげる成分。主に風邪薬、解熱鎮痛剤など)
アスピリン…………代表的な商品にバイエルアスピリン、アルカセルツァー、バファリンA、ケロリンなど。
飲みすぎると胃腸障害やアスピリン喘息を起こしたり、血が止まりにくくなったりします。
 
アセトアミノフェン…タイレノームA、カコナールプラス感冒薬、新ルルA錠、パブロンS、エスタックSR錠など。飲みすぎると肝臓障害やアスピリン喘息などを起こします。
 
イブプロフェン………エスタックイブ、チルカカプレット、ナロンエース、ニューロフェンなど
飲みすぎると腎臓障害、むくみを起こします。

グループ共通の副作用……ショック症状(呼吸困難、血圧低下、息苦しさ、脈の乱れ)を起こす。

 

交感神経興奮薬グループ (交感神経を活発にする成分。主に咳止め、風邪薬、鼻炎薬など)
塩酸フェニルプロパノールアミン…新ノスポール鼻炎カプセル、パブロン鼻炎カプセルL、パイロンL24、新ノバポン鼻炎ソフトカプセル、コンタック600SRなど。
 
dl塩酸メチルエフェドリン…………新ルルA錠、エスタックなど。

グループ共通の副作用……めまい、特に塩酸フェニルプロパノ―ルアミンは重篤な血圧上昇をきたし、脳いっ血や頻脈が起こる。

 

鎮咳成分グループ (咳を止める成分。主に咳止め、風邪薬など)
臭化水素酸デキストロメトルファン…コンタック総合感冒薬、ベンザエースA、新ストナエースなど。
 
dl塩酸メチルエフェドリン……………エスタックSR錠、カコナール総合感冒薬、ジキニン顆粒Aなど。
 
リン酸ジヒドロコデイン………………エスタックSR錠、新ジキニンなど。

グループ共通の副作用……便秘、息切れ、呼吸がしずらくなるなど。

 

抗ヒスタミン剤グループ (ヒスタミンに対抗する効果成分。咳止め、風邪薬、鼻炎薬、酔い止め薬など)
マレイン酸クロルフェニラミン…アネロンニスキャップ、アルガード鼻炎クールスプレー、エスタック鼻炎スプレー、新ルル点鼻薬など。
 
塩酸ジフェンヒドラミン…………ストナ鼻炎カプセル、トラベルミン内服液など。
 
塩酸メクリジン…………………エアミット顆粒、センパア、タケダ乗り物酔い止めなど。

グループ共通の副作用……排尿困難、強いふらつき、倦怠感、ショック症状(呼吸困難、血圧低下、息苦しさ、脈の乱れ)など。※通常の用量でもショック状態が現われることがあります。