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現代病の九割は悪玉酸素が原因で酸化を防ぐ
食事や運動をしないと発病しやすく短命

   茨城キリスト教大学教授 板倉弘重
 

私たちが吸っている
酸素が猛毒の悪玉酸素
に変わり体を傷つける

性酸素は非常に不安定な分子構造をした酸素で、これが体内に増えると体がサビつき、さまざまな病気を引き起こす元凶となります。

  下の表をご覧下さい。これは、活性酸素が原因で起こる代表的な病気をあげたものです。日本の死因トップ3であるガン・心臓病・脳卒中をはじめ、動脈硬化や糖尿病、さらにはアレルギー病や感染症、シミやシワなどの老化現象にいたるまで、現代人を悩ませる病気や症状の、なんと九割に活性酸素はかかわっています。
  私たちは、呼吸して取り入れた酸素を使って、全身の細胞で糖や脂肪を燃焼させてエネルギーを作り出しています。その過程で、ある一定量の酸素が攻撃性の強い酸素に変わります。これが活性酸素の正体です。

  通常、活性酸素はその強力な殺菌作用によって、体にプラスに動いています。しかし、大量に発生したり、過剰に反応すると、その強力な動きがマイナスに動いて正常な細胞まで傷つけてしまう「悪玉酸素」になってしまうのです。
  活性酸素の害の中でも、特に過酸化脂質(脂肪率が活性酸素によって酸化されてできる有害物質)による害が深刻です。細胞膜(細胞を包んでいる膜)にも脂肪酸が含まれています。そのため、細胞膜が活性酸素によって酸化されると過酸化資質ができます。
  すると、ほかの細胞を次々に酸化してゆき、やがて周辺の細胞は破壊されてしまいます。

 
活性酸素が原因で起こる主な病気

 ガン
 脳卒中(脳出血・脳梗塞)
 心臓病(心筋梗塞・狭心症)
 動脈硬化
 高血圧
 胃潰瘍
 肝炎・肝硬変
 じん炎
 糖尿病
 高脂血症
 アトピー
 シミ・シワ
 白内障  など
  

動脈硬化や糖尿病、
ガンも活性酸素が
主原因だった

  ところが、私たちの体はうまくできていて、細胞内で活性酸素が発生すると、同時に活性酸素を消去する酵素(体内の化学反応を助ける成分)も作られます。しかし、活性酸素が大量に発生したり、加齢(年を取ること)で酵素が十分に分泌できなくなると、過酸化脂質がどんどん体内に蓄積されて体の動きが低下します。その結果、病気を引き起こしやすくなり、老化も早く進むことになるのです。

  例えば、動脈硬化は、コレステロールよりも活性酸素が原因といえるのです。血液中に侵入した活性酸素は、肝臓から全身の細胞に運ばれるコレステロール(LDL)と結合して、悪玉コレステロールに変化します。すると、血液中の白血球成分であるマクロファージ(大食細胞)が悪玉コレステロールを食べて消去します。
  そのとき、マクロファージの食べる許容量を超えて悪玉コレステロールが増えると、マクロファージファージは死んでしまいます。そのマクロファージの残骸が血管壁にたまって血管内を狭くし、同時に血管を硬くもろくして動脈硬化を引き起こすのです。
 また、活性酸素がすい臓で増えると、糖を細胞に取り込むインスリンの分泌が悪くなり、血液値が高くなって糖尿病を招きます。さらに、活性酸素は、遺伝子を構成しているDNAを傷つけて、ガン発病の元凶となることもわかっています。
  活性酸素の発生を防ぐには、まず、活性酸素の原因となる食品の摂取を制限し、抗酸化力の優れた食品、例えば緑黄色野菜や発酵食品などを豊富にとることです。そして、活性酸素が発生しやすい肥満を防ぎ、善玉コレステロールを増やす、速足歩きのような適度な運動を行うことが大切です。
  具体的な方法は、後の記事でくわしく述べましょう。

活性酸素
  活性酸素には、@スーパーオキサイドラジカル、A過酸化水素、B一重項酸素、Cヒドロキシラジカルの4つのタイプがある。
  呼吸で取り入れた酸素は、体内での栄養素を燃やしてエネルギーに変わるが、そのとき酸素の約2%が活性酸素に変わる。活性酸素は、酸素の1000倍もの酸化力があり、この強い酸化力で細胞を傷つけ、さまざまな病気を引き起こす。


速足歩きをすると、善玉コレステロールが増える