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脳の次に悪玉酸素が多い肝臓は
体のサビを分解する力があり強化するにはこの食品

   聖路加国際病院医長 西崎 統
 

悪玉酸素と過酸化脂質
を退治する唯一の
処理工場[肝臓]

たちの体の中で、活性酸素が最も多く発生しやすく、その攻撃を受けやすいの脳です。

  脳は、体全体が消費する量の約20%の酸素を消費することからも明白です。そのうえ、脳には悪玉の活性酸素で酸化されやすい不飽和脂肪酸(植物油や魚油などに多い脂肪酸)が多く含まれているからです。
  その脳に次いで、活性酸素の攻撃を受けやすいもので肝臓です。
  肝臓は、ほかの臓器よりもエネルギー生産の盛んなところです。そのため、肝臓には動脈から新鮮な血液が多く流れ込み、血液によって運ばれる酸素も大量に補給され、消費されています。このときに、活性酸素もまた、大量に発生しているのです。
  それだけではありません。肝臓は、体内に入ってきた食品添加物や化学物質、アルコールや薬物を解毒する、体の一大化学工場の役割を果たしていますが、これらの処理をするときにも、活性酸素が大量に発生するのです。
  活性酸素によって酸化された脂質は、有害な過酸化脂質となります。体外には容易に排出されず、体内に残って血管や臓器、組織などに浸透していき、ついにはその組織をサビつかせて機能障害を引き起こします。

  これに対して唯一、過酸化脂質を処理してくれるのが、肝臓なのです。肝臓には、過酸化脂質を分解し、活性酸素を消去する酵素が大量に含まれています。そのため、発生した過酸化脂質は肝臓に運ばれ、この酵素で少しずつ分解されやがて消去されます。
  しかし、肝臓病や加齢(年を取ることが)などによって、この酸素の生産が減少すると、肝臓の抗酸化作用も急激に衰えてきます。
  それでは、肝臓を強化して、活性酸素や過酸化脂質を消去するにはどうしたらいいのでしょうか。
  まずは、肝臓に負担をかけないようにすることです。睡眠不足や暴飲暴食をくり返したり、ストレスを受けつづけると、肝臓への血流が妨げられて働きが低下するため、活性酸素が大量に発生してしまいます。

  

酸化した抗酸化酵素を
還元する働きが大きい
ビタミンB2

  次に、抗酸化成分を十分にとることが重要です。体内の抗酸化酵素の働きを助けて、活性酸素や過酸化脂質を消去するのが、カロテン(体内でビタミンAに変わる)やビタミンC・E、カテキンやフラボノイドなどの抗酸化成分です。
  そして、肝臓内で大量に発生する活性酸素や過酸化脂質を消去して体のサビを分解するには、ビタミンB2の豊富な食品をとることが大切です。ビタミンB2は、活性酸素を消去するときに酸化されて抗酸化力を失った酵素を再び抗酸化酵素に戻して、活性酸素や過酸化脂質を消去する働きがあるのです。
  ビタミンB2を多く含む食品は、豚肉・納豆・卵・乳製品・緑黄色野菜・ノリなどで、身近にあっていつでも食べられるもの。偏食をなくしてバランスのいい食事を心がけることが肝臓を活性酸素から守ることにつながるのです。

ビタミンB2
 
細胞の再生や成長を促進する働きのあるビタミンで、健康な皮膚、髪などをつくる。脂質の代謝を促進する働きがあり、不足すると脂質の代謝がスムーズにいかず、エネルギー生産が十分に行われない。また、粘膜を保護する働きもあり、不足すると口内炎・角膜炎を起こす。