癌は遺伝するか?

 

  巷間、「癌は遺伝する」といわれていますが、本当はどうなのでしょうか?皆様の知人にも、いわゆる癌家系の人がおられると思います。ここでは、遺伝子的には証明されていないが統計的には遺伝することが推測される胃癌と、実験的にウイルスによる感染が証明された乳癌についての内容を掲載します。
  今後、癌の遺伝に関する、遺伝子レベルの研究が進行し、「何番目の遺伝子がどの癌に関連している」ということが判明するときがくると思われます。そのときまで、私たちは、「癌は遺伝する」という考えに立ち、癌家系の人は更なる注意が望まれます。

 

胃癌:親が胃癌の人は気をつけて!
朝日新聞(96-11-13)から

 
  40歳未満の進行性胃癌は、家族に胃癌経験者がいると、そうでない場合に比べ約9倍もなりやすいという調査を順天堂大学医学部の菊池正悟講師らのグループが発表した。
  関東周辺の10施設がら報告してもらった713人の胃癌患者を調査。年齢を@40歳未満、A40歳以上〜50歳未満、B50歳以上〜60歳未満、C60歳以上、の4段階に分け、両親が胃癌になった人だけを選び出し、その患者が進行癌がどうかの要素を加えて統計処理した。
  その結果、家族歴がある場合、ない場合と比べて進行性胃癌になる確率は@が9.1倍で、Aは1.0倍、Bは0.4倍、Cは0.8倍と差が出た。菊地講師は「まだ遺伝子レベルで突き止めたわけではないが、家族歴がある人は定期的に診断をするなど気を付けてほしい」と話している。
 

年     齢

倍   率

@40歳未満
A40歳以上〜50歳未満
B50歳以上〜60歳未満
C60歳以上

9.1倍
1.0倍
0.4倍
0.8倍

 

 

乳癌:母が乳癌なら娘も乳癌!
フレディ松川著:「老後の大盲点」(潟xネッセコーポレーション)から

 
  癌の中に、一つだけ遺伝的要素を持った癌がある。それは乳癌である
  例えば、お婆ちゃんも、お母さんも乳癌の家系があったとすると、癌になるという実例はかなりの数にのぼる。

 
● 乳癌はウイルスの感染により罹患する

  乳癌を起こすと考えられるウイルスが、女性の間で受け継がれていくという説さえあるほどだ。「えっ、乳癌がウイルスのせい?」こんなことをいうと驚く人がいるがもしれないが、これは動物実験で完全に立証されているのだからしかたがない。
 
● 乳癌は母親から母乳により発生!
  乳癌を持ったネズミの母親から生まれた子供には、乳癌が多発する。さらに、健康なネズミの子供に、乳癌を持ったネズミの母親を与えると、そのネズミも乳癌が発生し易いということがわかっている。
  逆に、乳癌の母ネズミから生まれた子供を、健康な母親と一緒に育てると乳癌になる発生率は少なくなることもわかっている。つまり、授乳により、ウイルスが子供

の体内に入っていくことが仮定できるというわけである
 
● 乳癌の女性は授乳しない方がいい!
  この仮定に基づいて、いま考えられているのが、乳癌の多い家系に生まれた女性が子供を生んだ場合、授乳しない方がいいのでゃないかという説である。本来、母乳が乳癌のウイルスを持っていた場合には、絶対に母乳はいけないのではないかというのである。私も個人的には、その意見に賛成である。では、実際にそういう家系に生まれた人は、どうしたらいいのだろうか。
 
● 乳癌の家系の女性は年に一度は検査を
  年に一度は、必ず乳癌の検査を受けることをおすすめしたい。検査には、触診法や視診法など、身体の上から見たり触ったりする方法と、乳房撮影(マンモグラフティ)や乳房エコー(超音波検査)などの方法があげられる。少なくとも、その危険性がある人は、触診法や視診法だけで絶対に終わらせてはいけない。必ず、乳房撮影やエコーの検査を受けるべきだ。
  今や、乳癌は乳房を切り取らなくても手術できる。だから、心配しないで、定期的な検査を行うべきである。