重症アトピーが治る注目のSOD療法
丹羽靭負・土佐清水病院:月刊安心(96-01)から……本文はインタビュー形式で構成

 

◇  目   次  ◇

 
アトピーの重症化は環境汚染が一因
アトピーの主因は『活性酸素』
過酸化脂質による皮膚の保湿機能の喪失がアトピーを招く
活性酸素の除去システム(SOD誘導能)がうまく作用しないと病気に
SOD療法のよる驚異のアトピー治療実績
SOD療法@  SOD様作用食品
SOD療法A  AOAエキス軟膏
SOD療法B  食事指導

アトピーの重症化は環境汚染が一因

 
■ 重症化・難治化を辿るアトピー性皮膚炎
  10年ほど前まで、アトピー性皮膚炎は治療のむずかしい病気ではありませんでした。発症は小児に限られ、症状も軽く、しかも小学校に入るまでには自然に治っていたのです。しかし現在、アトピー性皮膚炎の患者数は急増し、重症化、難治化の一途をたどっています。治療をうけてもよくならなず、病院を転々とする例も多いようです。民間療法も星の数ほど見受けられます。
  アトピー性皮膚炎という病気に、いったいどのような変化が起こったのでしょうか?30年間、アトピー性皮膚炎の治療にたずさわり、病状の変化をつぶさに観察してきた土佐清水病院院長の丹羽靭負先生にお話をうかがいました。
  アトピー性皮膚炎の病状は、ここ14〜15年で、すっかり様変わりしています。その特徴を述べるとこうなります。

アトピーの4大変化

@患者数の激増
A症状の重症化
B罹患or悪化年齢の高齢化
C大都市&工業都市に居住患者の増加

アトピーの4小変化

@好発部位に関係のない病変の増加
A季節性に変化のない患者の増加
B食事やアレルゲンに無関係の患者増
Cアトピー体質や家族歴が陰性の患者増

● 従来のアトピー性皮膚炎
  私が医師になったころ、アトピー性皮膚炎の患者さんは、就学前にほぼ全員が治療していました。症状が出るのも、腕や下肢の屈測部(肘・膝の内側、手首、足首)だけでした。
 
● 現在のアトピー性皮膚炎
  今は、学童、さらに青壮年までが発病しています。症状も重く、全身の皮膚が赤く腫れ上がり、強烈なかゆみで夜も眠れず、日常生活に支障をきたす人も少なくありません
  アトピー性皮膚炎は命に関わる病気ではなく、以前は自然に治っていたため、とかく軽く見られがちですが、現状のきびしさを認識してほしいと思います。

 

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アトピーの主因は『活性酸素』

 
  このように患者数が激増し、症状が重症化するのは、なにが原因なのでしょうか?
 
■ 活性酸素は脂質と結びつき過酸化脂質という有害物質を作る
  私は、アトピーの主因は『活性酸素』にあると、長年主張してきました。活性酸素は体内にあるコレステロール、中性脂肪などの脂質(正確にいうと不飽和脂肪酸)と結びついて、これを酸化させ、過酸化資質という有害な物質を作り出します。
  過酸化脂質は血管、臓器、皮膚組織に付着して生体に障害を与えます。悪いことに、細胞内部に浸透する性質があり、体内にとどまる時間も長いのです。したがって、実際に害を及ぼすのは、活性酸素ではなく、過酸化脂質だと考えられます

 

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過酸化脂質による皮膚の保湿機能の喪失がアトピーを招く

 
■ 欧米化した食生活が過酸化脂質を増やす
  欧米化食で不飽和脂肪酸の摂取量がふえ、体内の活性酸素が結びつき、大量の過酸化脂質が作られます。それがアトピー性皮膚炎をはじめ、多くの病気を引き起こし、症状の悪化に拍車をかけます。
 
■ 過酸化脂質が皮膚を異常に乾燥させる!
  アトピー性皮膚炎の場合、体内に生じた過酸化脂質が、皮膚の最上層である角質層にまで浸透して水分保湿機能を奪い、皮膚を異常に乾燥させているのです。その結果、皮膚は弱くなり、長じれば炎症を起こします。
 
■ 多くの環境汚染がアトピー増加の主役だ
  活性酸素が、体内で過剰に発生する原因のひとつは、フロンガスの使用により大気中のオゾン層が破壊され、紫外線が増加したことにあります。紫外線を過剰に浴びせることは、体内での活性酸素の発生につながります。農薬食品添加物工場の排煙自動車の排気ガスから生まれる窒素化合物に至るまでの化学物質も、体内で活性酸素を発生させる原因となります。
  つまり、現代社会が生み出した環境汚染こそが、重症化、難病化の一途をたどっるアトピー性皮膚炎の大きな原因なのです。

【アトピー増加・悪化のシューマ】

 

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活性酸素の除去システム(SOD誘導能)が
うまく作用しないと病気に

 
  活性酸素は、体内への細菌やウイルスなどの異物の侵入から、体を守る働きをします。ところが活性酸素は過剰に生産されると、体内の脂質を酸化させ、人体に有害な過酸化脂質を作り出していまいます
 
■ SOD誘導能とは、人間が本能持つ活性酸素を除去する能力
  しかし、人間の体はうまくできていて、通常はSOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)という物質を機能させ、過剰に生産された活性酸素を取り除いてくれます。けれども体質的に活性酸素を取り除くシステムがうまく働かない(SOD誘導能が低い)人もいます。こういった人々は、環境汚染のため、体内に激増する活性酸素を処理しきれません
 
■ アトピーの患者は過酸化脂質の値が高い
  過去3年にわたって当院に入院した、500人余の重症アトピー性皮膚炎の患者さんの血液を調べたら、対象群の健康な人達と比べて、過酸化脂質値が異常に高いという結果が出ました。しかも症状が重いほど、過酸化脂質も高いのです。つまり、体質的に乾燥傾向を持つ人の皮膚に、過酸化脂質が付着して、アトピー性皮膚炎が引き起こされます。そのうえ、やはり体質的にSOD誘導能が低い場合、過酸化脂質が激増して症状の悪化を招くわけです。

 

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SOD療法による驚異のアトピー治療実績

 
  以前なら発症しなかった、あるいは消失していたアトピー性皮膚炎が、治らない病気になってしまったのは、急速に進んだ環境汚染と食生活の欧米化に、人間が本来持つ自然治療力が追いつかなくなったせいでした。ちなみに、アトピー性皮膚炎は表1のように進行します。

  しかし、原因がわかれば、対処法が考えられます。実際に、土佐清水病院では、強力なステロイド剤による治療を含め、様々な治療法でも症状が軽減せず、体じゅうから血液や浸出液(皮膚からしみ出る液)がにじみ出てボロボロになった皮膚と問わず起こる強烈なかゆみのために、日常生活すら満足に送れない超重症アトピー性皮膚炎の患者さんを、次々と回復させているのです。
  治癒率も99%ついう高さを誇っています。しかも、子供で4〜5日成人で1〜2週間という短期間で症状が軽快しています。普通、入院してアトピー性皮膚炎の治療を受ける場合、最低2〜3ヵ月はかかることを考えれば、これは驚異的な速さです。
  土佐清水病院のSOD療法は、次の三つが大きな柱となっています。
@内服………SOD様作用食品
A軟膏塗布
B食事指導

以下、各項目について、詳述します。

 

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SOD療法@   SOD様作用食品

 
  アトピー性皮膚炎は、過剰に発生した活性酸素を取り除くSODの誘導能が低いため発病、重症化します。そこで、SODと同じ働きをする物質(SOD様作用食品)を補って症状の悪化をとめ、自然治癒力が発揮されるよう促すのです。
  手軽にとれるSOD様物質(活性酸素による脂質酸化防止のため「坑酸化剤」とも言う)を開発しようと考えた丹羽先生が最初に注目したのは、植物およびその種子でした。
 
■ 植物が強い紫外線の下でも大丈夫なのは坑酸化剤のおかげ!
  植物は強い紫外線にさらされて活性酸素が発生しても、速やかにそれを消去して、みずみずしさをたたえています。これは、植物自身の持つ坑酸化剤のおかげです。植物中には、坑酸化剤が二つあります。
@一つは、植物自身が紫外線防止のために、植物自身のために作るSOD酵素ですが、これは人間には吸収できません。
Aもう一つの坑酸化剤は、植物の生命活動の中で蓄えられたもので人間や動物に食べられたとき、初めて坑酸化剤の役目を果す物質があります。
 
■ 植物中の坑酸化物質の摂取
  私たちは、植物が生命活動の中で蓄えられたものを、坑酸化剤(ビタミンE・C・B2、カロチン)として利用するわけですが、この利用(つまり摂取)が容易ではありません。
 
■ 植物中の坑酸化剤は高分子のため、そのままでは摂取が困難!
  この植物中の坑酸化剤は、互いに手をつなぎ合っている(この状態を高分子といい、分子が大きすぎ、吸収不可能)ため、植物内では活動できず、消費されません。人間などの動物に胃液の力でつないでいる手がほどけ、坑酸化剤、つまりSOD様物質として活用されます
  ところで、火を調理することを覚えて以来、人間の胃液の力は退化してしまいました。その結果、植物中の坑酸化剤の結び目をほどいて、効率的に利用することができなくなったのです。
  胃液の力の強い人なら、胚芽や大豆などをまぜ合わせて加熱しただけのものを食べて、体内の活性酸素を取り除くことが、ある程度可能です。しかし、それではすべての人に効果のあるSOD様作用食品とはいえません。
 
■ 低分子の坑酸化剤の開発『低分子の身体に吸収しやすい坑酸化剤!』
  そっこで、私は実験・研究を繰り返し、大豆、ゴマ、胚芽、ハトムギなどの天然の坑酸化剤を、遠赤外線焙煎、麹発酵、焙煎ゴマ油による油剤化といった方法で加工することによりすぐれたSOD様作用食品の開発に成功しました。
  土佐清水病院の患者さんは、軟膏を塗布するとともに、このSOD様作用食品のおよび、同じくSOD様作用のある南アフリカ原産のルイボスティーというお茶の粉末を毎日飲みます。
 
■ アトピーがSOD様作用食品だけで治癒
  なかには、SOD様作用食品を摂るだけで、症状が改善されるケースもあります。以前、私が主張して診察した重症の患者さんに、入院をすすめたことがあります。ご本人の都合で入院は2週間後だったのですが、病院にいらした患者さんを見て、どうしてこんな軽症の人に入院をすすめたのだろうとわが目を疑いました。
  この人は、私が支持した、2週間毎日、『SOD様作用食品』と『ルイボスTX』の粉末を飲み、あとに述べる食事の注意を守っていた結果、アトピーがすっかり良くなり、入院が不必要に思うほどになったわえです。
  この一件は、特殊な例ではなく、SOD様作用食品の摂取だけでも、かなりの効果が現れる人が少なくありません。
 
■ SOD様作用食品は難病に効果を発揮
  SOD様作用食品は、アトピー性皮膚炎のほか、関節リウマチ、レイノー病、ベーチェット病などの難病、および肝炎糖尿病脳卒中、また心筋梗塞ガンの治療再発予防などに目を見はるような効果のあったことが、学会で逐次報告されています。

 

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SOD療法A   AOAエキス軟膏

 
  丹羽博士のAOAエキス軟膏は安全なステロイドを安全な量だけ使用しています。外用治療に使う軟膏は、SOD様作用食品と同じ原料から抽出したエキス(AOA)を、ワセリン基剤に入れたものです。重症の場合は、一般の病院で治療に使われるステロイド剤のうち、最も安全なものを、1/2〜1/5の濃度にして混入しています。もちろん症状が好転すてば、濃度を薄めていきます
  高濃度のステロイド剤を使い続けると、皮膚が薄くなり、血管が表層に目立つようになります。これはステロイド剤が新しい皮膚を作る細胞の働きを抑制するため、皮膚が萎縮、老化するせいです。
  私が開発したAOAエキス軟膏の画期的な点は、ステロイドの副作用を抑え、効果だけを増幅させる点にあります。それだけでなく、何年もアトピー性皮膚炎で苦しんで、ステロイドに痛めつけられ、老化した皮膚を、元のように若返らせる作用もあるのです。これらのことは、マウスやヒト培養繊維芽細胞(新しい皮膚を作る細胞)を用いた実験でも証明されています。、また、なにより、土佐清水病院で治療を受けた何万人もの患者さんの例が雄弁に物語ってきれます。
  さらに、重症の患者さんには、AOAエキス軟膏の上に昔から使われているグリテールパスタ(大豆を長期間発酵させ少量のタールを加えたもの)を重ねて塗り、ガーゼでぐるぐる巻く「重層療法」を施します。これで皮膚がひび割れているような重症の患者でも、4〜5日で快方に向かいます。

 

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SOD療法B   食事指導

 
  アトピー性皮膚炎が重症化する原因は、前述のとおり、環境汚染により体内で過剰に発生した活性酸素と結びついてできる過酸化脂質にあります。環境汚染は簡単には解決できない問題ですが、活性酸素が結合する脂質を摂らないようにすることは、個人の努力でも可能です。表2に食事の注意を示しておきます。

 

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