アレルギー性疾患とは?

  皮膚および粘膜に多く見られるアレルギー性疾患は、次のようです。
@アレルギーが皮膚に発症 ⇒ アトピー性皮膚炎・アレルギー性接触皮膚炎
Aアレルギーが粘膜に発症 ⇒ 花粉症・アレルギー性鼻炎・気管支喘息など

 

抗原抗体反応(アレルギー)とは?
山崎龍男医学博士著「簡明医学辞典」(医歯薬出版)から

 
  生体には、外部からの異物である「抗原」に対して、防衛機能「抗体(抗原抗体反応)」があります。
 
 抗 原 と は ?
  この場合、外部からの刺激を「抗原:アレルゲン(アレルギーの起因物質)」といい、タンパク質で構成されています。例えば、細菌やウィールス、花粉、大気汚染物質、各種の食品(サバ・エビなど)などがあります。
 
 抗 体 と は ?
  外部からの抗原に対し、自己を守るために、生体中の白血球が作る物質を「抗体」といいます。抗体は《非自己》である抗原に対抗する物質で、抗原と同様にタンパク質であるグロブリンでできています。
  グロブリン( I g )は白血球が作り、5つのタイプがありますが、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支炎などのアレルギー反応に関与するのは、I g Eです。
 
 抗原抗体反応とは?
  外部からの抗原と、生体を守ろうとする抗体が結合(反応)して、抗原の働きを止め、無毒化する反応を抗原抗体反応といいます。コレラ菌の抗体はコレラ菌とのみ結合し、他の赤痢菌などどは反応しません。

 

 
抗原抗体反応とアレルギー

 
  抗原抗体反応は、下のような過程を経て進行します。
第1段階:外部からの抗原が生体に侵入する
第2段階:抗原に対抗して、抗体が生体内に産生される
第3段階:抗原の再来に対し、生体内の抗体は防御反応することが抗原抗体反応(アレルギー)です。

 
 抗原抗体反応の成立
  最初に花粉などの抗原の襲来(第1段階)があっても、生体内には直ぐ抗体が産生(第2段階)されないため、抗原抗体反応(アレルギー)は起きません。しかし、抗原の襲来が度重なると、生体内に抗体が産生されます。(第2段階)。抗体が産生された後で、抗原が来襲すると、抗原抗体反応(第3段階)が起こります。

 

 
アレルギーとは過剰な自己防衛反応
医学大辞典(南山堂)から

 
■ アレルギーとは、激しい抗原抗体反応!
  アレルギーは、第3段階の抗原抗体反応が激しく、生体に有害な反応として現れる場合、この反応をアレルギーといいます。私たちは、アレルギーによる症状を、例えば、粘膜では鼻水や目のかゆみ、皮膚では蕁麻疹のように、粘膜や皮膚の炎症症状として、理解することができます。
 
 アレルギー性疾患
  アレルギー疾患とは、激しい抗原抗体反応によって起こる疾患をいいますが、例えば、主な疾患をあげます。
呼  吸  器  疾  患 : 花粉症・アレルギー性鼻炎・気管支炎・気管支喘息・レフレル症候群
消  化  器  疾  患 :
口内炎・食事性アレルギー性胃炎・腸炎(アレルギー性下痢)・潰瘍性大腸炎
循  環  器  疾  患 :
狭心症・心内膜炎・結節性動脈周囲炎・閉塞性動脈内膜炎
皮  膚  科  疾  患 :
蕁麻疹・クインケ浮腫・結節性紅斑・湿疹・接触性皮膚炎
 眼   科    疾   患 :
フリクテン・アレルギー性角膜炎・交換性眼炎
自己免疫性疾患(膠原病) :
リウマチ様関節炎・エリトマトーデス・強皮症
そ の 他 の 疾 患 :
小癇・片頭痛・瀰慢性糸球腎炎

 

 
アレルギー疾患は明日にも発症する

 
■ 食事性のアレルギー
  サバや卵(抗原)を食べて蕁麻疹ができる人がいますが、この人の場合、既にその食品に対する抗体が生体内に出来ていて、食べた抗原と抗体との反応(抗原抗体反応)が病的に激しいために、結果として、皮膚に炎症が起こり蕁麻疹となったものです。従って、常に・長期的に、エビならエビを摂取していると、エビの蛋白質に対する抗体が産生され、エビに対するアレルギーが成立しています。
 
■ 花粉症のアレルギー
  花粉症では、今年は花粉症が発症しなくても、来年の当該花粉の時期までに抗体が産生されれば、来年のその時点で、花粉症になってしまいます。それは、今年は未だ、当該花粉に対する抗体が出来ていないために、今年は花粉症になっていないのです。
  重要なことは、「これまで花粉症ではないから、来年も花粉症にならない」というわけではなく、「やがて抗体が産生されて、花粉症になる準備をしている」と考えるべきです。