膠原病の診断は専門医でも困難なので、この小誌で述べることは不可能ですし、また、素人判断では、いたずらに慢性化し、治療の機会を逸してしまいます。
慢性関節リウマチ
30〜40歳の女性に多く認められ、急性リウマチの反復罹患で慢性の経過をたどります。四肢未端の小関節(指・手・肘・膝・足)を多発性に対照的に侵します。症状は、関節の朝のこわばり、疼痛、腫脹、関節変形、関節軟骨破壊、骨性癒着、皮下結節などを認め、進行して大関節を障害し心障害を伴うことがあります。
リ
ウ マ チ 熱
30歳までの女性に発生頻度が高く、自己免疫異常と考えられています。感冒、寒冷、湿潤が誘因となります。症状は、心筋炎(頻脈、不整脈、呼吸困難、浮腫)、移動性多発性関節炎、四肢の近位部に輪状紅斑、皮下小結節などを認めます。
全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
女性が多く(90%)、発病年齢は20〜40歳に多く、主婦の病気といえます。症状は、全身の衰弱が起こり関節が痛みますが、変形や運動障害は認めません。特徴は、蝶形紅斑(顔に蝶々の形をした紅斑)が現れることです。手や足、胸にも紅斑ができますが、痛くもかゆくもありません。全身性エリテマトーデスでは、さらに全身の内臓がおかされます。その中で顕著なのは腎臓で、腎臓の働きが悪くなり、ついに尿毒症で死亡することがあります。
全身性強皮症
女性が90%、年齢は30〜50歳に多い。症状は、手足の皮膚が厚く硬くなり、運動が不自由になります。ときに指先に潰瘍を認めます。顔の皮膚も変性し、口が開けず、会話や食事が困難になります。内臓では食道・胃腸などの消化管や肺が硬化し、長期化で寝たきりになります。尚、レイノー症状注)は膠原病になる前兆として注意すべき症状です。
注)レイノー症⇒四肢、手指を冷水に入れると白くなり、出すとまず紫赤色になり、もとの皮膚の色にもどる現象です。これは、全身性強皮症にもっとも多く、次に全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチにみられます。
皮
膚 筋 炎
女性2に対して男性1の割合です。小児より老人までの全年齢層にみられます。皮膚と筋肉の両方をおかす膠原病です。症状は、筋力の低下です。下半身の初発では椅子やトイレでの立ち上がり、階段を昇ることが不自由になります。顔には紅斑がみられますが、全身性エリテマトーデスと異なるのは色が赤いだけでなく、少し紫色がかっているころです。また、心臓や肺にも病変を生じます。ときに悪性腫瘍を合併しています。
結節性動脈周囲炎
膠原病のなかでもっとも重い病気です。症状は、全身の動脈に炎症を起こし、心臓、腎臓、脳神経、胃腸、肝臓などにいろいろの病変を呈します。この病気を早期に診断することは非常に難しく、治療も困難で、結局、命を落とすことが多いようです。
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