<9> 大 気 の 汚 染 と 活 性 酸 素
車の排気ガス・工場煤煙などから「肺癌・喘息・アトピー」が増加

 

排気ガスなどの窒素酸化物は大量の活性酸素を生む
丹羽靭負・土佐清水病院長著:「激増   活性酸素が死を招く」(日本テレビ出版刊)から

 
■ 大気の汚染に伴って肺癌や喘息が激増!
  かつては、胃癌が多かったものですが、大気の汚染に伴い、最近では肺癌が激増し、胃癌に迫る勢いです。また、喘息も、四日市などの石油コンビナートなどの工業地帯で多発し、公害問題になりました。
 
■ 大気汚染の元凶の一つである窒素酸化物
  最近、体内で活性酸素を大量に発生させる物質として注目されはじめてきた環境汚染物質に窒素酸化物があります。窒素酸化物NOx(排気ガス・石油化学工場の煤煙)も化学物質です。これらも、人体に入りますと、活性酸素を体内に大量に産生します
 
■ 大気汚染に伴い肺癌が急増している
  窒素酸化物は、人間も含めた動・植物の体内で大量に活性酸素を発生し、癌を含む多くの病気の原因になり、世界中で公害の中でも今、最も悩みの種は、この窒素酸化物だといわれています

 

 

ディーゼル車排ガスが活性酸素を作り出す
国立環境研究所:朝日新聞(93-03-01)から

 
  ディーゼル車排ガスの黒いすすが、細胞破壊や発癌に関わる「活性酸素」を生み出すことを、国立環境研究所(茨城県つくば市)の嵯峨井 勝・総合研究官らが明らかにした。これがマウスの肺細胞を破壊し、ぜんそくに似た症状を引き起こすことも確認しており、大気汚染による呼吸器疾患の、新たな発症経路として注目されそうだ。

 ぜんそくに関与か
 
■ すすの注入で肺に炎症が起きぜんそく様の症状が出た!
  嵯峨井さんらは、すすの毒性を調べるために、すすを含む溶液をマウスの気管に注入する実験を行った。0.1〜0.2rのすすを週1回、16週間続けて与えると、肺に炎症が起き、たんの原因になる粘液質が過剰になるなど、ぜんそくでみられる症状が出た。0.9rを与えると、すべてのマウスが肺水腫を起こし、死んだ。

 
■ すすに付く有機物が活性酸素を産生する
  すすにくっついている有機物が活性酸素を作ることを、別の実験で突きとめ、活性酸素の働きを抑える酵素(SOD)を注射して同様の注入実験をしたところ、症状がかなり緩和された。このことから、すすから生まれる活性酸素がぜんそくのような症状を起こす、と結論づけた
  すすは、様々な呼吸器疾患の原因物質と考えられ、その発症メカニズムは免投反応(アレルギー)という考え方が主流だ。しかし、患者がアレルギーにかかわる抗体をもっていない例も多く、嵯峨井さんは「活性酸素がこのような患者の発症に関係している可能性が高い」としている。

 

 
アトピー皮膚炎の重症患者が工業都市・大都市に集中
丹羽靭負・土佐清水病院長著:「激増   活性酸素が死を招く」(日本テレビ出版刊)から

 
■ アトピー激増・重症化の原因は大気汚染
  アトピー性皮膚炎は、最近その患者数の激増、重症化が問題となってきていますが、[疾患別:《11》 アトピー性皮膚炎と活性酸素]で述べたように、石油化学コンビナートや、人口密集地の自動車数の非常に多い工業都市、大都市に患者が非常に多く、また重症患者も極端に集中しているのです。
 
■ 過酸化脂質がアトピーの原因!
  これらの地区に大量に排泄される窒素酸化物が体内で活性酸素を増産させ、脂と反応して過酸化脂質を作り、患者の皮膚の保湿機能を奪うことが証明されたことから窒素酸化物(NOx)が、アトピー性皮膚炎の激増、重症化の主な犯人と考えられます。