第1章  現代病の90%は悪玉・活性酸素が原因


 2  病気の90%は活性酸素・過酸化脂質が原因

 
  依然として『活性酸素』と臨床医学の結びつきが希薄な状況の中で、個人病院の開業医である丹羽教授は研究のためアメリカに渡り、個人的な親交のあったボクサー氏の研究発表に関心を持ちました。ボクサー氏が特異の症例を扱ったのに対し、日常的な病気の原因としても『活性酸素』の増加が原因として考えられることに気づきました。この着想をもとに、患者の好中球から産生される活性酸素の増加に起因する病気の研究に没頭することになりました。
  その研究の成果として、当時は原因不明の難病とされ治療法も確立していなかったベーチェット病や関節リウマチ、川崎病等の臨床疾患が過剰な『活性酸素』によって発症することを学会の研究会で発表するにいたりました。しかしながら、そうした学会の研究会にあっても『活性酸素』や『SOD』の説明に大半の時間を費やすほど、専門家の間でも関心は低かったのです。
  丹羽教授はその研究のさなかに、ご子息を「血液の癌」といわれる白血病で亡くされています。癌細胞を破壊するための抗癌剤や放射線照射は、癌細胞を破壊する以前に健常な細胞に作用します。重篤な状況下でも副作用のために口腔の粘膜が腫れ上がり、食事の摂取をいっそう困難にしていたそうです。激痛に苦しむ我が子の姿をどうすることもできず、ただ見守るしかないことに、父であり医師である氏の悲しみ、絶望感は察するに余りあるものがあります。(丹羽先生の御著書『白血病の息子が教えてくれた医者の心』−草思社刊  にくわしく著されています。)
  丹羽教授はこの間の凄惨な闘病・看護の体験をもとに、激しい副作用をもつ抗癌剤の投与や放射線治療に疑問をもち、人間が本来有する生体防御を活かすSOD様作用食品の開発にも心血を注いでいく事になります。
  その後、6〜7年にわたり丹羽教授の孤軍奮闘は続きますが、その研究が評価され厚生省特定疾患ベーチェット病研究班の研究班員に選ばれます。個人病院の医師が、厚生省の研究班員に選ばれることは極めてまれなケースであり、『活性酸素』や『SOD』の研究の功績に対する、極めて高い評価の証左となるものです。
  やがて、1970年代から80年代にかけて、医学界ばかりではなく理工学系からも環境汚染による『活性酸素』の大量産生が癌の発生要因という研究発表が相次ぎ、またマッコードによる『活性酸素』と『SOD』の関係を明かにしたマウスの実験が注目されるようになってきました。
  この実験に触発されて、わが国でも活性酸素の研究が広がり、臨床医の間にも関心が高まり、ようやく京都に薬品メーカーや大学病院の研究者が集まって活性酸素やSODについての研究が始められるようになったのです。
  ただ、その頃には丹羽教授の研究も大詰めを迎え、過剰な活性酸素がもたらす疾患の研究をほぼ網羅完成させ、パリ物理化学研究所の生科学者ミッケルソン氏と共もリボゾームを被包したSOD注射の臨床応用が始まっていました。その効果についての分析も完成し、厚生省研究班の一部の先生方と難病患者に使用していくようになりました。
  また、SOD様作用食品の開発も完成させ、ステロイドを用いても完治しない難治性の疾患患者に投与し、劇的な効果を上げ始めていたのでした。
  最近でこそ『活性酸素』、『SOD』がジャーナリズムを賑わすようになり、私たちの病気の90パーセントが、生体での過剰な活性酸素・過酸化脂質によって惹き起されていることが定説化しつつあります。
  しかし、丹羽教授の研究を除いては、ほんのここ数年の(臨床医の)学問であり、一般の皆さんはもちろん一般の臨床医にとっても非常に新しい考え方、治療方針でもあるのです。そのために西洋医学を基盤とする一般的な医師が、ステロイド投薬治療のように症療法的であるのに対し、丹羽教授の治療が生体防御機能を活用する『SOD様作用食品』の利用など決定的な差が生まれているのも事実です。
  アトピー(=奇妙な)性皮膚炎の増加を目の当たりにして、ステロイド系投薬治療に疑問を持つ医師も増えています。このアトピー性皮膚炎によって惹き起こされ、その過剰な『活性酸素』を取り除く『SOD様作用食品』による改善を、『SOD様作用食品』利用者の体験をもとに明らかにしていきたいと思います。