第4章  過剰な活性酸素で起こる病気


 4  皮膚系疾患

 
  潰  瘍
  組織の表面に傷つき、そこが抉れるように傷口が深くなることを潰瘍形成といいます。これは、皮膚(皮膚潰瘍)と皮膚以外の消化管潰瘍(胃潰瘍、腸の潰瘍)があります。
 
  ●皮膚潰瘍とケロイド
  切り傷が深くなったり、火傷をしたり、膠原病によくみられるような血管がつまって皮膚に栄養が届かなくなったりして、皮膚に潰瘍ができることがあります。皮膚表面に傷ができると皮膚表面の細胞がつぶされ、そのつぶされた細胞の膜が空気中に向かって露出されます。
  この細胞の膜は、一般化酸化脂質の原料になる不飽和脂肪酸が非常に多いところで、この脂が空気中の酸素にさらされることになります。
  すると酸素(O2)が何らかの刺激で活性酸素であるO2-に変化します。また、皮膚は紫外線にさらされていて皮膚表面d、紫外線による活性酸素が発生します。活性酸素O2-が不飽和脂肪酸と結合して過酸化脂質が作られます。この過酸化脂質が活性酸素と同じく組織や細胞に有害に作用し、傷口や潰瘍面に閉塞して治癒の妨げとなり、傷治りにくくしています。
  したがって、皮膚の傷口や潰瘍面は、非常に過酸化脂質が作られやすい場所で、これが傷口を治りにくくします。丹羽博士がフランスの生科学者ミッケルソン氏と開発して治療に使っていたSOD酵素から作って外用剤は、非常に広く深い潰瘍でも、短期間で見事に閉鎖治癒させています。
  これは、活性酸素O2-を除去することで、傷口の閉鎖する治癒機転を妨げている過酸化脂質が作られなくなるからだと考えられます。
  皮膚の傷口では過酸化脂質が上昇していて、傷口の場所でも皮膚組織のSODが低いと傷口の治りが遅く、逆に傷口に過酸化脂質が増加していても、その場でSODが上昇してきていると、傷の治りが早いことが報告されています。
  次に皮膚の傷が閉鎖して治るときに、きれいな瘢痕状にならず、非常に醜く汚い盛りあがった状態で治る場合があります。これをケロイド形成と呼びます。
  その傷口がきれいな瘢痕で終るかどうかは、SOD誘導能、つまり活性酸素の増加に対してSOD値が上昇するかどうかにかかわり、ケロイドになる傷口ではSOD値が上昇せず、低い値であることが報告されています。
  
  ●胃潰瘍、腸管潰瘍
 
腸管潰瘍には、最近、患者数が激増しているクローン氏病や潰瘍性大腸炎があります。
  胃潰瘍の原因には、食事の他にストレスや体質、その人の生活様式などいろいろあり、また腸管潰瘍の原因について、不明の点も多いのですが、欧米人に多く日本ではこの20〜30年増加してきたことから、脂肪食、ストレス、睡眠不足、過労などが原因の一つだと考えられています。
  いずれにしても、胃腸が皮膚ほど空気や酸素との接触は頻繁でなくても、潰瘍部に過酸化脂質が大量に作られ、これがさらに隣接する正常な腸の組織を破壊し、潰瘍口を拡大、悪化させていきます。また、ストレスで起こる胃潰瘍の発症、治癒にも活性酸素、SODの考え方が無視できなくなってきています。
  丹羽博士の臨床経験では、クローン氏病や潰瘍性大腸炎には丹羽博士の活性化低分子抗酸化剤=SOD製剤が有効で、副作用の強いステロイドやサラゾピリンを中止してもSOD製剤のみで、好転治癒した患者さんを多数経験しています。