第4章  過剰な活性酸素で起こる病気


 7  一般の炎症

 
  体内に細菌やかび、ウィルスなどの異物が侵入してくると、好中球やマクロファージなどの食細胞が、これを貧食し、食べた異物を溶かすために活性酸素やライゾーム酵素を出します。このとき、過剰な活性酸素は食細胞の外に出て、血管壁や臓器をいためつけますが、食細胞の外に活性酸素やライソゾーム酵素が出てくると、必ずその炎症細胞となった食細胞の周囲の炎症因子である活性酸素やライソゾーム酵素が、その周辺の組織を攻撃して、腫れ上がったり、傷みや熱が出たり、赤くなったりします。
  同時に、リンパ球が侵入異物のはるか後方に動員され、1週〜2週間くらいで異物に対する抗体化して、次に侵入してくる異物には、このリンパ球(特にT型リンパ球)が攻撃を行ない、活性酸素やライソゾーム酵素類似の炎症因子を出します。
  こうして、菌、ウィルス、かびなどが体内へ侵入すると、発熱、疼痛や腫脹、発赤、などがみられ、これを炎症と呼びます。過度の炎症は困りますが、異物から自分の身体を守るために必要な反応なのです。それが過度になると高熱が出て、強い傷みで苦しむのですが、特定の病気にみられるものでなく、非常に多くの病気にみられる現象です。
  また、癌細胞も菌やウィルスと同じく、自分の体内で発生しても自分にとっては異物になります。あるいは、膠原病といって、リンパ球が自分の組織や臓器や細胞を異物と誤認して、それらをリンパ球が攻撃するのが発症の原理です。これも自分の組織や臓器や細胞が誤認されて攻撃されるというように、癌細胞と同じく異物になり、炎症反応が起こります。
  このように、ほとんどの病気で炎症反応が起き、発熱、傷み、腫れなどを惹き起こします。食細胞の関与する炎症では、もちろん過剰に産生、流出した活性酸素がその主役を担いますが、リンパ球の炎症反応でも活性酸素が二次的に放出され、炎症を促進、増強する役目をはたしているのです。
  したがって、ほとんど全ての病気でみられる熱発、痛み、腫れなどは、活性酸素が関連した症状であるということと、その症状を軽減するには有効な抗酸化剤によって活性酸素を効果的に除去することが必要なのです。
  従って、過剰な活性酸素が多くの病気の元凶といえるため、抗酸化剤の守備範囲は非常に広いといわなければなりません。