ホーム丹羽療法 治療レポート > 愛飲者からの質問 D −高齢者の薬のリスク−
 

 レポート 023


−高齢者の薬のリスク−
愛飲者からの質問 D
 
   丹羽先生へのインタビューは、いつも先生が新横浜診療所にいらしたときに、お願いしています。患者さんが多く、診察が深夜に及ぶこともしばしば。さらに先生は、診察を終えて最終の新幹線で大阪に向かわれたり、飛行機で札幌に飛ばれたり、とにかく一時も休むことなく全国を飛び回っています。その体力と気力にはいつも驚かさるばかり。日ごろから野球やランニング、素振りをされ、肉乳製品は極力摂らない食生活と、SOD。そして月のうち半分は空気のきれいな土佐清水で生活していることもあって、下手な30代、40代よりも肉体年齢は若いのかもしれません。
『自己管理(運動と食生活)がきちんとできて、寝不足、ストレスがなければたいした病気にはならない』
   いつもおっしゃっていることを地で行っているわけです。
   加えて、医療に対する、病気の患者さんに対する並々ならぬ情熱が先生を突き動かしています。今回もそんななか、インタビューしてきました。
   愛飲者からの質問、60代のご主人が体験した薬の副作用のことです。
   50代の頃から心臓の不整脈があり、抗不整脈薬をいろいろ飲んでいたところ、半年前にいきなり倒れ、心臓停止状態、意識不明になったのです。幸い、救急車処置が早く、命は取りとめましたが、そのときに倒れたのは 2年前から飲み始めていたペプリコールという抗不整脈薬の副作用だと判明したのです。この薬は心房の不整脈を抑える効果がある反面、心室細動など別の不整脈を起こすことがあるとか。ほかにもいろいろ薬を飲んでいたので、とくに肝臓の機能が衰えつつある高齢者は要注意だとか。処方してくれた先生からはそんな説明、一切、なかったそうです。
   幸い一命は取りとめましたが、このような副作用、とくに高齢者に危険なものがたくさんあるのではないかということで、先生にうかがってみました。
 
―――先生、高齢者になると大量の薬を常用している方がたくさんいらっしゃるのですが、やはり危険は高いのでしょうか?
「何種類もの薬を飲んでいる、そういう患者さん、いっぱいいる。うちに来たなかですごいのは二十数種類の薬を処方されて飲んでいた人がいた。よくよく聞いてみると、一つめの薬の副作用を止める薬が二つめで、二つめの薬の副作用を止める薬が3つめ、4つめ、5つめと延々と連鎖していって、とうとう二十数錠だ。笑い話みたいだが、これは本当のことですよ」
 
―――最初の薬をやめれば、すべていらないわけですよね?
「そういうこと。薬というのは、増えれば増えるほど危険なんですよ」
 
―――とはいえ、どうしても飲まなければいけない薬というのもありますよね?
「それはある。感染症や肺炎、気管支炎など急を要するものには必要です。僕も化学薬品の薬を使うときは使う。しかし、ちょっと怖い薬は、毎月必ず検査して、状態を観察し、びくびくしながら使っているんだ。危ないと思ったらすぐにやめる。症状が落ち着いているときはやめる。ところが、今の医者は、僕が見る限り、ほとんどが薬を処方しすぎだな。なざかというと、今は患者さんの数も少なくなってきて病院も経営が厳しいから、薬をたくさん出して少しでも点数を稼ぎたいわけだ」
 
―――患者は薬を拒否することは難しいですよね。医学的知識もないですから、医者に言われたらそうするしかない。風邪をひいただけで数種類の薬を 2週間分も出されると、さすがに多いのではと思うのですが?

「そのとおり。症状が改善されていても念のためと言って薬を飲ます。昔は健康保険で負担額は 1割だったら安かった。だから薬をもらっても簡単に捨てていた。今はもったいないと思って捨てない(笑)。むちゃくちゃだな」
 
―――薬も高くなっているのですから、どのくらいの期間、飲めばいいのか正直に言ってほしいですね?
「それは医者の良心次第だと思う」
 
―――お医者さんというのは、副作用のことは分かっているんでしょうか?

「わかっていない人もいる。いつも言っているでしょう。年を取って老化してきたら、だれでもみんな少しくらいどこか悪いんだ。そんなものは薬では治らないんだ。薬はごまかすだけ。副作用があるぶん余計にたちが悪い。だから、薬でごまかそうとするよりも、普段の生活を見直して、自己免疫力を高めることをするほうが大事なんだ。90パーセント以上の病気は完治しないんだ。漢方薬のようにあまり効かない薬は大丈夫だけど、化学薬品のなかで効く薬は、必ず他の臓器も攻撃する。抗がん剤はがん細胞もやっつけるけど、がん細胞よりも弱い正常な細胞を先に殺してしまう。気管支を拡張したら心臓をやられる。コレステロールを下げる薬を飲んだら、腎臓がやられる。これが西洋医学というもの」

   結局は、いつも言われていることに尽きるわけです。薬云々ではなく、自己免疫力を高める努力をすること。何もしないで薬だけやめればいいのではなく、食生活の見直し、適度な運動をすること。寝不足、ストレスをためないことです。

 


111