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 レポート 076


−オプジーボは肺がんに効果的なのか?−
愛飲者かの質問O
 
   オプジーボは肺がんに効果的なのか?
 
   今回は、愛飲者の方からいただいた質問を丹羽先生に答えていただきました。
   今、話題のオプジーボについてです。本当にたくさんの方から、丹羽先生の見解を聞いてほしいという要望や、問い合わせをいただきました。
   肺がん(手術や放射線などで切除できない進行、再発の非小細胞肺がん)の特効薬と言われている、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。最近、テレビや雑誌でも頻繁に特集され、本当に特効薬なのかどうか、様々な意見が交錯しています。
   そもそもこの薬は、悪性黒色腫という皮膚がんの一種であるメラノーマの治療のために2014年に保険適用認可が下りた薬でした。日本皮膚科学会によると、紫外線に対する防御力が弱い欧米の白色人種に多く見られるがんで、日本人は10万人にひとりの発症率だとか。後に肺がんにも効果がみられるということで、2015年暮れに保険診療での使用が認可されました。
   これまでの西洋医療でがんの治療法というと、手術、抗がん剤投与、放射線という3点セットでしかが、このオプジーボは第4の治療法と言われている免疫治療だそうです。画期的は、革命的な、と言われているのは、免疫チェックポイント。この言葉は、免疫の検問所とも言われいてます。がん細胞は、人間の免疫機能にブレーキをかける特性があるといいます。その検問所で、がん細胞によってかけられたブレーキをはずす薬がオプジーボだとか。つまり、自身の免疫機能ががんを叩くという図式だといいます。加えて、従来の抗がん剤のような激しい嘔吐や脱毛などの副作用が少ないと言われています。
   これだけ聞くと、まさに夢のような薬です。
   丹羽先生も当初、オプジーボの話を聞き、喜んだそうです。そのようなことも含め、丹羽先生に伺ってきました。
 
―――先生はオプジーボのことを聞いたとき喜ばれたそうですね?
「そうです。医師として、そんなにいい薬ができたのなら、そしてそれが本当に副作用もなく、効くのならようやく僕の薬役割も終わることができるなあと、正直、良かったと思ったんです。ところが、やっぱりダメでした。副作用が出たんです」
 
―――どのような副作用が?
「そもそもオプジーボは、手術などができなくった末期の肺がん患者の2割の人にしか効かないんです。それも、誰に効くかはわからない。とりあえずやってみないとわからない。その上、副作用です。頭痛、食欲不振、吐き気、倦怠感といったものから、重篤なものになると、肺炎をおこして亡くなったりしています。あと、免疫系の疾患のある人、膠原病やリウマチの患者にオプジーボは大変危険です。命にかかわる。つまりは抗がん剤といっしょなんです」
 
―――でも、これは抗がん剤ではない、免疫細胞に効いてくれるものだと?
「そんなことはない。いっしょです。がん細胞が免疫機能を阻害するから阻害しないよう開発されたといっても、正常な細胞にダメージを与えているんです。でなければ副作用は出ないはずです。また、人の体というのは、実によくできていて、自然に免疫機能が働くものなのです。食事のバランスや運動でも免疫細胞は活発に作用するのです。ところが、化学物質で増やす免疫細胞は、不自然なものです。なんでもかんでも免疫機能を上げればいいわではなく、上げてはいけないこともあるのです。それを、なんでもかんでも上げてしまうと、なかには正常な細胞に悪影響を与えてしまう。さらにがんというのは、耐性を持っていて、細胞側の遺伝子変異によって効かなくなる。オプジーボも、今後がんが耐性を持てば、悲惨なことになる可能性があるということです」
 
―――それでも、2割に効くと言われれば、末期なら、試してほしいと思うのが普通ではないでしょうか?
「2割というのは、今の医療の現場では、効かないのと同じなんです。例え適合しても、それでがんが完治するわけではない。死の淵からいったん生還はするけれど、クスリの副作用はどこかに出てくる。とにかく使ってみないとわからないと言われ、使った挙句に苦しむことは大いにあります。やはり、丹羽療法がいちばん安全、安心です。しかし、丹羽療法を知らない人は飛びつくんでしょう」
 
   いま、とにかく、テレビや雑誌等で盛んに特集さえているオプジーボ。中には、肺がんが消えた画像を紹介しているものもありまた。その番組の中で、末期の肺がんから生還した70代の男性は助かったことは嬉しいが、自分のような年寄りがこんな高額治療を保険で使ってもらっていいのかと思う、と言っていました。医学の進歩は素晴らしいことですが、それに伴って、新薬の保険適用承認が増え続ければ、いずれ日本が誇れる健康保険制度が破たんすると危惧する医師の意見も報道されていました。そのことは丹羽先生も危惧していました。
   「2割にしか効果が得られないうえに、アメリカの試験では、オプジーボを使った1年生存率が42%、2年生存率が23%。全生存率の中央値は9.2か月しかない。それを全員に投与したら、いったいいくらかかる。一人1800万円の薬を1万人に投与しただけで、兆単位になる。そんな薬がこれからどんどんできてくる。どれもやってみないとわからない。効くか効かないかはわからない。副作用もわからない。化学薬品の多くは諸刃の剣なんです。効くと言われるクスリほど怖いということです」
 

   オプジーボに関する日本肺癌学会からの注意喚起
 
   世間がオプジーボに過剰な期待を抱き、保険認可まで受けたことに対して、日本肺癌学会は、2015年12月に、肺がんの患者さん、ご家族、関係者宛に、以下のようなお願い文を出しました。
 
   このたび肺がんの新しい治療薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ)が昨年(2015年12月17日)付けにて「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する効能効果が承認となり、同対象患者さんへの保険診療でも使用が可能となりました。ご承知のように肺がんは日本人のがん死亡原因の第一位であり、毎年7万名以上の方が亡くなっています。このため、より有効な新たな治療法が切に待ち望まれていました。
   今回承認されるニボルマブ(商品名オプジーボ)は、免疫チェックポイント阻害薬と言われる薬品で、リンパ球のがん細胞への攻撃力を高める作用があります。いわばからだに本来備わっている防御力を高めるわけで、初回治療後に再発した際に行われる二次治療において従来の抗がん剤より優れた効果を発揮することが、チェックメイト017および057という二つの臨床試験で証明されております。通常の抗がん剤でみられるような嘔吐や脱毛などはみられず一般に副作用は軽いことが示されています。
 
   このように大きな期待をもたれているニボルマブ(商品名オプジーボ)ですが、私たちは2002年に夢の新薬≠ニマスコミに称されて登場した肺がんの新薬ゲフィチニブ(商品名イレッサ)の発売直後に、副作用として間質性肺炎が多発し、合計800名以上もの患者さんが亡くなられた過去の教訓を思い出さずにはいられません。
 
   このような背景から、日本肺癌学会は今回のニボルマブの承認に際し、賢者さん、ご家族および関係者の皆様に以下の点についてお伝えし、薬には効果がある反面、副作用もあることをよく理解頂いた上での冷静な対応をお願いしたいと思います。
   1.ニボルマブはすべての患者さんに有効な夢の新薬≠ナはありません。
   肺扁平上皮の二次治療を対象としたチェックポイント017試験においてニボルマブの奏効率(腫瘍の直径が30%以上縮小する割合)は20%となります(従来の抗がん剤であるドセキセルでは9%)。同様に肺腺がんを対象としたチェックポイント057試験では19%(ドセタキセルでは12%)でした。
   2.ニボルマブにも副作用があり、重篤になる場合もあります。
   チェックポイント017と057試験においてなんらかの副作用があった患者さんはそれぞれ58%、69%でした。免疫関連副作用として甲状腺機能低下が4%、7%、下痢8%、8%、肺臓炎5%、3%、皮疹9%、9%に見られました。この二つの試験では死亡例はありませんでしたが、他の試験では死亡例も出ています。ニボルマブは新しい作用機序を有する薬で、われわれの使用経験も少ないだけになおさらの注意が必要です。
   3.ニボルマブが使えない患者さんがいます。
   この薬の性質から、膠原病、リウマチ、関質性肺炎の患者さんには使用できません。これらの患者さんでは重篤な副作用が起きる可能性があります。また、他の薬との併用についても安全性が確認されていません。併用療法については、安全管理体制が整った医療機関において臨床試験として実施されるもの以外は受るべきではないと考えています。
 
   ニボルマブが肺がん治療のためにわが国で使用できるようになったころは患者さんにとって大きな福音であることは間違いありません。しかし、薬は諸刃の剣であるということを忘れず、肺がん治療に精通した医療機関において冷静に得られる利益と危険性のバランスについて検討した後に初めて使用されるべきであることをご承知おき頂きたいと思います。
 


   以上が日本肺癌学会からの文書です。
   「薬は諸刃の剣である」とは丹羽先生はじめ、医学関係者が肝に銘じてる一文なのでしょう。私たちも新薬に希望は持ちつつ、冷静に判断していくことが必要だと思われます。またこのような新薬に関して今後も、随時、丹羽先生にお話しをうかがっていきたいと思います。

 


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