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抗がん剤でがん細胞を叩いたら
人間の細胞のほうが先に死ぬ

私ね、医者になって50年ですが、医大を卒業して最初の23年、がん患者を何百人と診ました。進行がん、末期がん、みんな死んでいきました。直接がんで死んだ人はひとりもいません。直接の死因はみんな抗がん剤。あたりまえです。
   抗がん剤を投与すると患者さんはゲーゲー吐きながらしんどいと訴えます。そうすると医者は、検査のデータを見せて、あんた何を言っているんだ。このとおり抗がん剤のおかげでがんが小さくなっているのにと、マーカーの数値が下がっているのを見せられて患者さんは「すみません、ありがとうございます。ゲーゲー」と感謝する。そこでまた抗が

ん剤を投与され、その副作用でゲーゲーやる。人間が死にかかったら抗がん剤をやめる。そうするとがん細胞はどんどん大きくなってマーカーの数値が3倍4倍になる。するとまた抗がん剤をやる。患者さんゲーゲーなる。「先生もうやめてください」という。「何を言っているんだ、マーカーが下がったじゃないか」。「あ、ありがとうございます。ゲーゲー」。また途中でやめる。マーカーが上がる。またやる。「ゲーゲーありがとうございます」。こんなことを繰り返しながら苦しんで死んでいかなければならないんです。
   がん細胞のほうが絶対に人間の細胞よりも強い。絶対にがんよりも人間のほうが先に死ぬ。それは自然の摂理であります。
   僕はそんなこと分かっていたけれど、卒業して23年。大学でもこれしか教えてくれないし、教科書にもこれしか書いていない。だから何百人ものがん患者さんが抗がん剤でみんな苦しんで死んでいくのを見届けるしかなかったんです。

 

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